2021-01-01から1年間の記事一覧

全3巻で完結する漫画を紹介

現在の個人的な気分で「これだけは読んでください」と推薦したくなる完結済み漫画を紹介します。すべて全3巻の作品で統一しました。これというのも、全3巻という長さに私自身、強い愛着があるからです。何日もかけて読まなくてはいけないというほどではなく…

音のない世界で(『ドライブ・マイ・カー 』感想)

濱口竜介監督の作品は、これまでに何度も動く乗り物を印象的に撮影してきたことが思い返されます。2010年の『THE DEPTHS』でも、2012年の『親密さ』でも、並走した2台の乗り物が徐々に引き離されていくその様子をカメラがじっくりと捉えて終幕を迎えました。…

「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」を考える。

(図1)『月刊少女野崎くん』6巻134pより 椿いづみによる4コマ漫画『月刊少女野崎くん』を読んだことがなくとも、この一コマだけなら知っているという人は多いのではないでしょうか(図1)。 これはヒロインの千代が、演劇部のお芝居で役をどのように演じればよ…

死なない少女(『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』感想)

1. 序盤では一切明かされることがなかった過去の出来事や登場キャラクターたちの馴れ初めを、物語の後半にまるで堰を切ったように立て続けに開示していき、独特なエモーションを獲得することに成功しているのは、この作品の監督である古川知宏の、さらに師匠…

空白を想像すること (『ブランクスペース』感想)

熊倉献作品との出会いは2017年1月、当時新刊だった『春と盆暗』が面陳されていた実家近くの書店だったと記憶しています。 実際に書店でこの単行本を見かけるまで作者である熊倉さんのことは恥ずかしながらまったく知りませんでしたが、無数の道路標識が突き…